腹痛について
腹痛について腹痛とはその名の通り「お腹の痛み」です。
その症状は多岐にわたり、放っておいても自然によくなる軽いものから、治療しないと命に関わる重篤なものまで多岐にわたりあります。
早めに受診が必要な腹痛
- これまでに経験したことのないほどの腹痛
- 突然発症した腹痛
- 安静にしていても3時間以上続く腹痛
- 胸痛や嘔吐、吐血、下血、冷や汗、意識低下などを伴う腹痛
など
持病がある方、高齢の方では上記ほどの症状でなくても、受診をするようにして下さい。
腹痛の原因
炎症やがんなど、器質的な疾患により生じている場合と、消化管の機能に問題があって生じている場合とに大きく分けられます。
器質的な疾患が原因である場合は、適切な検査、治療が必要です。
機能に問題があると考えられる場合には、症状を改善させるための治療を行います。
緊急性が高い腹痛を
引き起こす消化器疾患
腸閉塞
過去の腹部手術による癒着や大腸がんなどで腸管が閉塞した状態です。激しい腹痛を起こすことがあり、緊急手術が必要になることもあります。このような症状の時は、早めに受診してください。
急性虫垂炎
いわゆる盲腸です。虫垂の根元が何らかの原因で閉塞することで、虫垂内で細菌が増殖し、虫垂が腫大することで痛みを生じます。軽症であれば抗生剤で手術を回避できる場合もありますが、炎症の程度によっては手術が選択されます。腫大した虫垂が破れると、腹膜炎に至り治療に難渋することもありますので、早めの検査、治療が大切です。
急性胆嚢炎
胆石などによって胆のうの出口が塞がれ、胆のう内で細菌が増殖した結果、胆のうに炎症が生じた状態です。初期には上腹部の不快感や鈍痛、炎症の進行とともに右の肋骨の下あたりの痛みになります。
急性膵炎
膵液に含まれる消化酵素で膵臓自体が消化され、膵臓に炎症が起きている状態です。上腹痛や背中まで拡がる痛みを引き起こします。主にアルコールや胆石などが原因で起こります。重症化すると命にかかわるため、早急な治療が必要です。
S状結腸軸捻転
その名の通りS状結腸がねじれて、腸管に血流障害が起きている状態です。内視鏡でねじれを解除したり、場合によっては手術が必要になることもあります。
早めの受診が必要な腹痛を
引き起こす消化器疾患
胃・十二指腸潰瘍
ピロリ菌感染や非ステロイド系消炎鎮痛薬によって胃の炎症が続き、胃や十二指腸の粘膜の一部がえぐれてしまった状態です。進行すると潰瘍から出血したり、穿孔を起こすことがあります。胃潰瘍の痛みは食後に、十二指腸潰瘍の痛みは空腹時に現れることが多いです。
胆石発作
胆石が胆のうの出口にはまり込むことで、みぞおちに強い痛みが生じます。吐き気・嘔吐、発熱などを伴うこともあります。また背中や右肩に痛みが生じる場合もあります。通常ははまり込んだ石が外れると症状は治まりますが、そのまま胆のう炎に移行する場合もあり、注意が必要です。
尿管結石
腎臓と膀胱をつなぐ管である尿管の中に、腎臓でできた結石が落下し詰まることで痛みを生じます。主な症状は背部痛ですが、腹痛として自覚されることもあります。
大腸憩室炎
憩室(大腸にできた袋状のもの)の中で細菌が増殖し、炎症を起こした状態です。腹痛で気づかれ、多くは抗生剤で軽快しますが、炎症が高度で憩室が穿孔すると手術が必要になることがあります。
腹痛で受診された際の検査
詳細な問診や腹部の触診を行ったのち、必要に応じて血液検査、レントゲン検査、CT検査、超音波検査(腹部エコー)、胃カメラ検査、大腸カメラ検査などを行います。これらを総合的に判断し、診断を行ったのちに治療を行います。
血液検査・尿検査
炎症反応の有無や、貧血の程度などを確認します。また尿中の赤血球を調べることで、結石の存在を疑います。
大腸カメラ検査
大腸の粘膜を直接確認します。検査中に組織を採取することで、さまざまな疾患の確定診断が可能です。ただし、腸閉塞の際は、前処置が行えないので注意が必要です。
腹部エコー
腸管の動きや拡張、内容物の停滞、腹水の有無などのほか、肝臓、胆のう、腎臓などの臓器を任意の方向から観察します。
腹部レントゲン
腸管内のガスの溜まり方などをみて腸閉塞などの診断につなげます。
腹部CT
肝臓、胆のう、腎臓、膵臓、脾臓などの実質臓器だけでなく、小腸の拡張や大腸の炎症もある程度識別できる、情報量の多い検査です。
腹痛でお困りの方へ
腹痛は誰もが経験したことのある身近な症状ですが、その原因はさまざまです。
深刻な病気が隠れている場合もありますので、特に症状が続いている場合などは、放置せず、一度当院までご相談ください。